キャスパーの書庫

キャスパーです。 大好きなアニメの妄想モリモリの二次創作小説をぽつぽつと書いていこうと思います。 アニメ全般大好きなので、広く繋がっていけたらいいな。

2024ねん、しんねんのごあいさつ

 


「明けましておめでとうございます」
「おめでとうございます、ロイドさん、アーニャさんにボンドさんも」
「なにがめでたい?だれかたんじょうび?」
 謎の言葉をかわすロイドとヨルを、パジャマ姿のアーニャは目をこすりながら問いかけた。
「お前、昨日の夜は日付超えるまで起きてるってはしゃいでたくせに、もう忘れたのか?」
「今日はお正月ですよアーニャさん、一年の最初の日です」
 ん~~、と唸りながらまだ冴えない頭で昨晩のことを思い出す。そういえばそんなこといってたかも、と覚えているのかいないのかよくわからないアーニャに、ロイドは溜息をつきながら顔を洗って着替えて来いと促す。
 その後ロイドは、昨晩話したお正月の話を、もう一度アーニャにすることとなった。


 テレビはお正月の特番ばかりで、テレビの前に座っていたアーニャは退屈そうにチャンネルをまわしていた。暇すぎてうたた寝しそうになっていたころ、突然坊門者を知らせるブザーが鳴った。
「明けましておめでとうお前ら!」
「もじゃもじゃ!いいとこにきた!」
「何しに来たんだよ」
「おいおい今の聞いてなかったのかよ、新年の挨拶に決まってんだろ。ほら、祝いの酒も持ってきたぜ」
 得意気に酒瓶を見せびらかしたフランキーは後からやってきたヨルにも挨拶をし、当然のようにソファに腰かけた。
 退屈していたアーニャは遊び相手が見つかったと嬉しそうに近づく。
「もじゃもじゃ、アーニャとなにかしてあそべ!てれびつまんない!」
「あー正月は特番ばっかりだからなー、遊ぶといってもなにするか……そうだ、お前今年の目標とか考えたのか?」
「ことしのもくひょー?なんだそれ」
 おつまみを作ろうとキッチンに居たロイドは2人の会話に耳を傾けていた。たまにはいいこというなと感心し、もう一品くらい作ってやるかと手を動かす。
「今年何を頑張るか、何をするかっていう自分の中の目標だよ、例えばテストでいい点を取るとか、早寝早起きを頑張るとか」
「なるほど、それがもくひょーか、それならアーニャもうある!」
「お、なんだなんだ」
「すてらいっぱいとって、いんぺらるすっからんになる!」
 その時キッチンの方でガシャーン!と音がした。大丈夫かと駆け寄ったヨルにロイドは大丈夫ですと落としてしまったボールを拾い上げた。
目標が高いのはいいことだが、現実的なところステラ2つ、いや1つ…最悪トニトを取らないといったところでは…、と頭を押さえていた。
「お、いい目標だな!でもそのためには勉強とか頑張らないといけないんだろ?」
「う、そうだった…で、でもアーニャほかにももくひょーある!じなんとなかよくなってプラ…ぷらぷらとおでかけしたい」
「ぷらぷらとおでかけ?ほほぅ、つまりそれはデートってことだな!」
 再びキッチンでガシャンと音がした。ロイドは頭を押さえながら、つまみができたからもう余計なことをいうなとフランキーを睨みつけた。


 お酒とつまみがそこそこ進んだ頃、再び訪問者が訪れた。
「明けましておめでとうございます、フォージャー先生、それと奥様も。たまたま近くを通りましたので新年のご挨拶にと伺いました。あ、これたまたま先ほど買ったお菓子です」
 いつものように現れたフィオナは、ヨルにご一緒に召し上がってくださいと促されいつものようにソファに腰かけた。
 ドアを閉めようとしたその隙間から手が現れ、ガシッと扉を押さえたのはユーリだった。
「あけましておめでとう姉さん!新年の挨拶に来たよ!」
「ユーリ、明けましておめでとう」
「ユーリ君、明けましておめでとう、今年もよろしくね」
「嫌だね!お前によろしくしてやるもんか!」
 あはは、これは今年も手厳しいな、とロイドが愛想笑いを浮かべつつ、その隣で殺気を放ちそうになっているフィオナを制した。


 だいぶ賑やかになったリビングでは、再び今年の目標の話になっていた。
「もじゃもじゃはもくひょーあるのか?」
「目標?あーそうだな…今年こそ「超人外骨格(パワードスーツ)二号機」を完成させる!それと彼女を作ること!」
 彼女という単語に冷めた目を向ける一同。ロイドに関しては、それ開発するのに10年かかったって言ってなかったか?とフランキーを見る。
「なんだよなんだよ!目標はでかくだろ!おい!次はそこの姉ちゃんだ!今年の目標を言え!」
 だいぶ酒がまわってきていたのか、フランキーはこれ以上何も言うなと会話のバトンをフィオナに渡した。
「今年の目標ですか?そうですね…」
(それはもちろん黄昏先輩と結婚!だって好きだもの好きなんだもの、好き過ぎるんだもの。あー好き好き好き好き、先輩大好きです、最終目標は揺るぎはしないわ。しかしその前にこのヨル・フォージャーという障害をどうにかしなければならない。その名は私にこそふさわしいのに!具体的なプランはいくつか練っているがどれも成功率が低いという欠点がある上に、あの圧倒的パワーにどう勝つかを模索しなければ…)
「…とくにありません」
「なんだよつまんねーな」
「僕はもちろん姉さんと一緒に過ごすことだよ!」
(本当はロッティを処して、この世の姉さんの敵となりうるものをすべて排除することだけどね!姉さんの幸せは僕の幸せ!それならもうこの世に姉さんと僕だけでいいんじゃないか⁉あ、でもそうすると姉さんが悲しむからチワワ娘と犬だけは助けてやるかな!あとは姉さんの好きなケーキ屋さんも、それから…よし!やっぱりロッティだけ処刑しよう!)
「ユーリったら、もう少しちゃんとした目標にしてください」
 こんな大勢の間でシスコンパワーを見せつけられて少し恥ずかしそうにしていた。
「では奥様の目標はなんですか?」
(黄昏先輩をサポートするために具体的にどういう行動をし、どういうプランを立てているのかしっかりと聞かせていただきたいです。内容によっては妻の座を交代していただくということになるかもしれませんがその場合の引継ぎは問題ありませんのでご安心ください、というかとっとと下りてください)
 まさか自分も聞かれるとは思っていなかったヨルは少し戸惑っていた。いままで明確な目標というものを立ててきたわけではなかったので、改めてそう言われると何を目標としたらいいのか、自分は何がしたいのかわからなかった。
「はは、だいじょぶか?」
 アーニャの顔を見て、隣にいるロイドの顔を見る。心なしか心配そうな表情をしており、ヨルの答えはすぐに浮かんだ。
「私の目標は、今年も家族みんな笑顔で過ごすことです」
「はは、それじゃ僕と同じだ」
 笑顔で返すロイドに、フランキーはあーあ、つまんねーと笑っていた。
(ちち、ほんとうはにんむのことばっかりかんがえてる…でも、それもうそじゃない)
「姉さん!その家族笑顔でって僕も入ってるよね!僕だけ除け者じゃないよね⁉」
(こんな時でも任務としての顔を忘れない先輩すき♡私はそんな先輩を支えるために頑張ります!)
(あーこいつらに誰かいい女紹介してほしいけど、一人はスパイだし、もう1人は秘密警察だし、ろくなやついねぇなー、あー今年こそ彼女ほしー)
 それぞれの思惑が飛び交い収拾がつかなくなってきたなロイドは賑やかな光景を遠目で見ていた。
(ていうかそろそろ帰ってくれないだろうか…何か余計なことを言われるんじゃないかと気が気じゃないんだが…)
 大げさに咳ばらいを一つすると、自然と視線はロイドに移された。

「とりあえず、みんな今年もよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
「よろろすおねがいするます!」